空と雨
「先生ー、怪我人ですー」
「あ、先生」
保健室には保健医はいなくて男子生徒が一人いた。
「佐久川ー、先生は?」
佐久川ていうんだ。
「先生はいま出張でいないじゃん」
そう言って佐久川という人は先生をバカにしたようにゲラゲラと笑った。
「あれ?そうだっけ?
じゃあ佐久川頼んだ!!」
先生はあたしを前にだして
「こいつ怪我人だから」と言って笑った。
「先生がやればよくね?」
「俺って不器用なんだよね」
……。
ただ単にやりたくないだけでしょ?
「……わかったよ」
「あ、すっすみません…」
「いいよ、こっちきて」
慶は潤を手招きして長いすに座るよう、指示した。
「…」
潤は黙って手当てしてくれる慶の手を見ていた。