空と雨


「よし、帰るか」


「あ、さようなら」


早く出なきゃ鍵を閉められると思い、潤はかばんを急いでもつと、準備室から出ようとした。

「あ、中野、もう遅いから俺が車で送るから駐車場に先行っててよ」


「あ、でも…」


「いいから、遠慮するなよ」


空は準備室の入り口に佇む潤の頭をポンと叩くと、鍵を閉めずに職員室へと向かってしまった。


「…ま、いっか」


今回は先生に甘えて送ってもらおう。

そう思って潤は真っ暗な廊下をあるいて、さっきまでいた昇降口に行った。


「中野さん…?」


え……?


前は真っ暗でよく見えないけれど、佐久川先輩らしき人に見えた。


「…先輩?」


「やっぱ中野さんだ…」


暗闇でよくわかんなかったけど、先輩が笑ったように見えた。


ドキッとした。
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