三日月の下、君に恋した
「やっぱり、沖原さんて美也子のことよくわかってますね」
「まあ……職場でも家でも一緒だから」
自分でもよく続いているなあと思う。
美也子と暮らす前は、ひとりでいることに慣れて、誰かといろいろなことを共有するのが苦痛になっていた。
他人との距離をいつも意識して保ってきたのに、知らないうちに平気になって、一緒に何かすることが楽しいとさえ思えるようになったのは、たぶん美也子のおかげだと思う。
「でも美也子、心配してましたよ。沖原さんが出ていくんじゃないかって」
「えっ何で?」
「ほら、そのー。彼氏できたから」
菜生は一瞬混乱した。
「それ誰の話?」
「沖原さん」
さっと胸に冷たい予感が走って、菜生はおそるおそる聞いた。
「その話、美也ちゃんから聞いたの?」
「そうですけど……あっ、何かマズかったですか。余計なことしゃべっちゃったかな俺」
「あのね、もしかして、それって、早瀬さんにも話した?」
「話してませんよ」
ほっとする。握りしめた手の中が汗ばんでいる。
「つか、一緒に聞きましたから。食堂で」
「まあ……職場でも家でも一緒だから」
自分でもよく続いているなあと思う。
美也子と暮らす前は、ひとりでいることに慣れて、誰かといろいろなことを共有するのが苦痛になっていた。
他人との距離をいつも意識して保ってきたのに、知らないうちに平気になって、一緒に何かすることが楽しいとさえ思えるようになったのは、たぶん美也子のおかげだと思う。
「でも美也子、心配してましたよ。沖原さんが出ていくんじゃないかって」
「えっ何で?」
「ほら、そのー。彼氏できたから」
菜生は一瞬混乱した。
「それ誰の話?」
「沖原さん」
さっと胸に冷たい予感が走って、菜生はおそるおそる聞いた。
「その話、美也ちゃんから聞いたの?」
「そうですけど……あっ、何かマズかったですか。余計なことしゃべっちゃったかな俺」
「あのね、もしかして、それって、早瀬さんにも話した?」
「話してませんよ」
ほっとする。握りしめた手の中が汗ばんでいる。
「つか、一緒に聞きましたから。食堂で」