三日月の下、君に恋した
リョウは仏頂面のまま「知らねーよ」と意地悪く言う。
「何とかするつもりみたいだけどな」
それを聞ければ満足だった。
「そんなことより、どーなんだ」
「何が?」
封筒の中から原稿を取りだし、中身にさっと目を通す。
「何って、決まってんだろ」
「あー、この家のことならちょっと待ってくれ。夏までには何とかするから」
「家のことなんか聞いてねーよ。あのな……」
そのとき電話が鳴って、リョウが舌打ちしながらポケットを探った。
「あ? 誰だって?」
電話の向こうの相手に横柄な口調で尋ね返しながら、隣の部屋に移動する。
しばらく襖の向こうでボソボソと話す声が聞こえていたが、やがて電話を終えたらしく、もどってくると妙に落ち着かない様子で「ちょっと出てくる」と言う。
「どこに?」
「すぐもどる。おまえはここで待ってろ。いいな。絶対にここにいろよ」
念を押すようにそう言って、慌てた様子で出ていった。
「何とかするつもりみたいだけどな」
それを聞ければ満足だった。
「そんなことより、どーなんだ」
「何が?」
封筒の中から原稿を取りだし、中身にさっと目を通す。
「何って、決まってんだろ」
「あー、この家のことならちょっと待ってくれ。夏までには何とかするから」
「家のことなんか聞いてねーよ。あのな……」
そのとき電話が鳴って、リョウが舌打ちしながらポケットを探った。
「あ? 誰だって?」
電話の向こうの相手に横柄な口調で尋ね返しながら、隣の部屋に移動する。
しばらく襖の向こうでボソボソと話す声が聞こえていたが、やがて電話を終えたらしく、もどってくると妙に落ち着かない様子で「ちょっと出てくる」と言う。
「どこに?」
「すぐもどる。おまえはここで待ってろ。いいな。絶対にここにいろよ」
念を押すようにそう言って、慌てた様子で出ていった。