三日月の下、君に恋した
「もう少しの間、我慢してください。そんなに気を張らなくても、松田さんは、ただそこに座ってふんぞり返ってりゃいいんですよ。あとのことは、全部僕が責任を取りますから」
「そんなこと言って……いったい、君はどこで何をしてるんだ。私に何もかも押しつけて。ひどすぎるじゃないか。君のお父さんだって、こんなことは望んでないよ。きっと悲しんでいるにちがいない」
今度は泣き落としか。
「こっちはこっちで、いろいろと都合があるんです」
「どんな都合か知らないけどね、私はもう長くもたないかもしれないよ」
「……わかりました。できるだけ早くもどるように努力します」
「そうか」
相手の声が急に元気をとりもどした。
「ぜひ、そうしてくれ。来週あたり、もどれそうかな?」
「すみません。急いでいるのでかけ直します」
まだ何か言いかけている松田久雄の声を一方的に遮断し、通話を切った。毎週かならずかかってくる松田からの電話は、このぶんだと習慣化しそうだ。
「そんなこと言って……いったい、君はどこで何をしてるんだ。私に何もかも押しつけて。ひどすぎるじゃないか。君のお父さんだって、こんなことは望んでないよ。きっと悲しんでいるにちがいない」
今度は泣き落としか。
「こっちはこっちで、いろいろと都合があるんです」
「どんな都合か知らないけどね、私はもう長くもたないかもしれないよ」
「……わかりました。できるだけ早くもどるように努力します」
「そうか」
相手の声が急に元気をとりもどした。
「ぜひ、そうしてくれ。来週あたり、もどれそうかな?」
「すみません。急いでいるのでかけ直します」
まだ何か言いかけている松田久雄の声を一方的に遮断し、通話を切った。毎週かならずかかってくる松田からの電話は、このぶんだと習慣化しそうだ。