月の神―神話物語―
「お嘆き下さいますな、我が君」


巫女は微笑み

月の神の腕の中で、アレイス樹の花が散るように砕け散ってしまいました。


ただ、


星の光に護られたその心は、不滅の魂のように、命の輪の中に還っていきました。


月の神は空っぽになった腕を見つめ、振り絞るような声で泣きました。



暁の空には、まだ守護の星が輝いていました。

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