月の神―神話物語―
白い館は本当にわたしだけの鳥かごだった。

ほかには鳥も人もいない。ただ黒衣の神がいるだけだった。


わたしは言葉を話せない。


けれど、前の女主人と違って、黒衣の神はわたしの歌がわかるようだった。


わたしは黒衣の神のために毎日歌った。


秋と冬と春と夏と


時には黒衣の神が弾く竪琴に合わせて。

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