月の神―神話物語―
いくつの季節が過ぎただろう


晩夏の暁のこと


黒衣の神がいない時だった。



ふだんは鍵がかかっている窓がいきなり開き

大烏(オオガラス)が一羽、降り立った。



ピア



大烏は忘れかけていたわたしの名を呼んだ。


「おいで。お前の時は尽きた」



< 25 / 36 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop