私の好きなあなたが幸せでありますように
私がメールを送ってから、今度は数分で返信が来た。
その後も何度かメールのやり取りを繰り返す。

お互いの学校のこと、趣味、休日の過ごし方。
あたりさわりのないことだけど、私にはその会話一つ一つが全て特別なものに思えた。

今話題になっている映画の話になったときだった。

『良かったら一緒に見に行かない?』

そっけない誘い文句。
どうしよう。
即答したい。
行きたい。
映画はさておき、行けば陸くんにもう一度会えるわけだから。

その一方でこうも思う。

誘い慣れているのかな?
合コンに来るくらいだし。
適当に遊びたいだけなのかも。
迷った。
けど、私は本能に従順だった。

『行きたい』

陸くんも少しは私に会いたいと思ってくれてのかもしれない。そんな期待を込めて出した結論だった。
陸くんに会えばもやもやして持て余していたこの気持ちが何なのか分かる気もした。
あの日、道を教えてくれた時の陸くんを思い出す。
優しい気づかいとか、笑った顔とか。

もう一度会いたい。

それがこんなに早く叶うなんて思っていなかった。
春休みだから休日を待つ必要もなかった。
私たちはお互いの予定を確認し、3日後に映画の見られる場所の最寄り駅で待ち合わせすることになった。

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