私の好きなあなたが幸せでありますように
2、もう一度会ってみたくて
一目惚れ、だったのかもしれない。
かもしれないというのは、今まで私が一目惚れというものをしたことがなかったため、これは一目惚れであると断定できなかったのだ。

まぁ、そんなことはどうでもよくて、私は今頭を悩ませていた。
携帯電話を何度となく無意味にパカパカさせてみる。
ため息。
はぁ、まだ返事が返ってこない。
こんなにメールがもどかしいと感じるのはいつ以来だろう?

相手は先日知り合ったばかりの陸くんだ。
メールアドレスはあの日のその場の流れで何となく交換して知っていた。

いつもなら楽しかったですねとか、また飲みましょうねとか適当な文章を打ってそれでおしまい。
そのあとはこの人誰だっけって感じで、知らない人のアドレスとしてカテゴライズされて消されていくのが定石だ。

その場限りの関係というのは、嫌いじゃなかった。
気楽だし、後腐れもないから、いつの間にか楽しかったことだけ抜粋して後は忘れていける。

でも、今回は違った。

また、会いたいなぁ。

なんて、思ってしまったのだ。

なんでそう思ったのか自分でもよく分からない。
それでも私はよく分からない感情をもてあまして、思い余ってメールしてしまった。

疑問形で送った。

もちろん返信があることを期待してだ。

文面は短く、簡潔に。
面倒とか、重たいとか思われないように、あたりさわりない感じで、言葉を慎重に選んで送った。

そして返信がまだない。

ベッドで携帯電話とにらめっこ。

ゴロゴロ無駄に寝がえり。

そんなことしたって返信は来ない。

携帯電話をその辺に放り投げた。
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