存在認定恋愛論
□“蝶”と“さなぎ”
・なぎさside
・なぎさside
私は九条 なぎさ。
高校1年生
私には双子の姉が同じ学校にいる
姉の名前は、あげは。
まるで示し合わせたみたいの名前は
私と姉の存在を端的に表していた
姉は美しく空を舞う“あげは”
私はじっと空を羨む“さなぎ”
夕日が射し込む廊下を1人歩く
放課後だからか、
部活動の盛んな声がしている。
抱えた色とりどりのプレゼントは
全部あげはの物。
渡して欲しい、と言われるから
私は受け取って、渡す
別に何も思わない。
私は“あげは”になれない“さなぎ”
それは決まりきったことだから
廊下を歩いて行くと
…目の前でプリントが散乱していた
プレゼントを落とさないように
プリントを一枚拾えば、
“社会学担当”という文字。
この学校で社会学担当は…
「…何してる、」
「………宮本先生。」
背後から低い声と共に…
微かなタバコの香り。
振り返れば、案の定…
社会学担当教師
宮本 葛先生が立っていた。
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