存在認定恋愛論
受験開始のチャイムを聞きながら
俺は、図書室に戻る。
途中で推薦入試の合格者が
説明会を終えて
帰るところに出くわした
俺は興味なく
その集団を通り過ぎようと歩き出す
…ドンッ
「あ、悪い。…!」
集団の中の1人とぶつかって
俺は、謝るために
その女子生徒を振り返る…。
驚いた
「あ、いえ!大丈夫です。
こちらこそすみません。」
頭を下げて謝ってきた女子生徒は
さっき受験会場まで送った受験生…
そう、
九条 なぎさにそっくりだった
「…お前、もしかして双子か」
「え、…どうして分かるんですか?」
驚いた表情を見る限り
やはり受験生と、この女子生徒は
“双子”なのだろう
「いや、…さっき
お前にそっくりの受験生がいた」
「きっとなぎさです。」
「なぎさ?」
初めて彼女の名前を知った。
「はい、私は九条 あげは。
妹は九条 なぎさといいます
私たちは一卵性双生児ですから」