存在認定恋愛論



同じ人が出した声とは思えない


そして…隣にいる
九条と双子だとは思えない。

「いっつも私に萎縮するんです」


少し、憤慨したように
九条は口を尖らせて…すぐに笑う

嘲笑だった。

「…先生、私の存在は
 なぎさには邪魔かもしれない」



図書室でタバコに再び火をつけて
煙を吐き出し、天井を見上げる

存在が…邪魔、か。


「厄介な双子だな」

それでも気にせずにはいられない

…なんて、バカか俺は

一生徒に何をこんなに悩んで…
心を奪われた?

「まさか…」

自分の考えに嫌気がさす
ため息を吐きながら目を腕で覆う

視界が暗くなった。


『…どうしよっ…』

あの一瞬、
泣きそうな声で心が奪われた。

九条 なぎさ

守りたい、助けたい、…そんな
許されも報われもしない想いを
考えながら…目を閉じた



「…先生、」

誰かに呼ばれてハッとした。
慌てて腕を外して目を開ける



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