存在認定恋愛論



くわえていたタバコの灰が
足に落ちる。
熱くは無いのだが思わず肩が跳ねた

「あ、大丈夫ですか?」

少し慌てたような声には
聞き覚えがあった。


俺はバッと振り返った

そこには寝るまで想っていた…


「なぎさ」

思わず名前を呼べば


「っ、…先生。」


九条 なぎさは…笑った
美しく、可愛く、笑ったんだ。



俺は胸が締め付けられるのを感じる

あぁ…こんなふうに笑うのか


「先生、このチョコレート。」
「…っあぁ。
 たまたま持っていたからな」

顔が赤くなっているのを
自覚した俺は、俯いて早口に告げる

なぎさは開封されてない包みを
嬉しそうに両手で握りしめていた。



「嬉し…かった、です」

あぁ…もう、ダメだ。



照れたように笑う彼女に
俺は胸の奥に秘めた想いが
止められないことに気がついた

「…ちゃんと出来たか」
「はい。」

自信ありげな様子のなぎさが
可愛く見える…重症だな



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