存在認定恋愛論
・葛side
・葛side
目の前にいる双子の片割れ
九条 なぎさの腕には
よく崩れないものだ
と感心してしまうぐらいの包みが
燦然と積み上げられていた。
「なんだ、その包み」
仮にも女子1人で運ぶには
些か多すぎる量のプレゼント
九条 なぎさは俺に
プリントを渡しながら
“あげはさんへ”と書かれた
メッセージカードを見せてきた。
まったく…
「人気者は辛いな、本当に」
『─そうでもないですよ』
俺は手洗い場で会った記憶に
ため息を吐きながら
彼女の腕の中で
適当に一番上に積まれていた
かわいらしい包みを透かせる。
中身はクッキーか
「ほら、貸せ。九条妹」
「……は」
重たそうな九条 なぎさの腕から
九条宛のプレゼントを奪う。
九条 なぎさはポカンとしている
「先生、返してください。」
今さらの様に九条 なぎさが
俺に要求してきたが
俺は、聞こえないフリをしながら
しゃがんでプリントを拾い出す。
「手伝え。」