存在認定恋愛論
『私は、大丈夫ですよ
もう自由に空を舞える“蝶”
…ですから』
“蝶”の影に霞む
感情を閉ざした“さなぎ”
…ナメられたものだ
「周りの下らない戯れ言を
聞き入れるほど、
俺は馬鹿でも愚かでもない」
「……」
俺はなぎさを見つめる
噂で惑わされる馬鹿と
同類にされるなんて…心外だな
赤い夕日に照らされて、
なぎさの顔が逆光で輝く…
俺は静かに口を開いた
「お前が“さなぎ”かどうかは
俺が決める」
自分で見たことを、俺は信じる
「ありがとうございます、」
うつむいて
表情は見えないが、声が少しだけ
震えていた。
「……。」
俺は聞こえないフリをして
なるべく優しく…
なぎさの頭を撫でてやる。
「俺がお前を認めてやる。」
“蝶”に憧れている
“蝶”になりたい“なぎさ”。
俺が、お前を…─
拾い集めたプリントを受けとると
同時に回収したプレゼントを渡す。