オールホワイト
「おい、白。お前だけだぞ、読書感想文出てないの。」
担任教師に、軽く小突かれて、頭に手をやる。
…読書感想文て、小学生の夏休みじゃないんだから。
なんて思いつつも、いつも行かない図書館に足を運ぶ。
静かで、なんだか落ち着かない。
「えーっと、夏目漱石…。」
「きゃっ」
本ばかり見ていて、横にいる人の事にぶつかってしまった。
「スンマセン!大丈夫ですか。」
「は、はい…。あれ…」
……彼女、白海涼子さんだ。
なんでこんな所に!
「雪、くん?」
「え、え、ええっと…あの。」
どうしよう。
ここでどう答えたらいいのだろうか。
頭の中をフル回転して、考えるが、フリーズしそうだ。
しばらく黙っていると、後ろから気配がした。
「白?」
俺を呼んだのは、雪だった。
「雪…。」
「あ、ごめんなさい。弟さんの方だったんですね。」
彼女は申し訳なさそうに、苦笑いしながら謝った。
「アハハ、イエイエ。」
あ、焦った…。
俺は髪の毛をクシャクシャとかいて、作り笑いをした。