空夢
……そろそろ行かなきゃ。
あたしは涙を拭き、立ち上がった。
そして保健室から出ようとした時、視界が塞がれた。
…あれ……?
あたしは上を見上げた。
すると、茶髪の背の高い男の人が視界に入った。
どっちかと言えば……かっこいい男の人。
でも、見たことない人だ。
あたしは泣いた事がバレないよう、俯いた。
でも、その人に顔をつかまれ上を向かされた。
……うそ…。
「……泣いた?」
え……。
あたしは必死に手で顔を隠した。
でも、その人はその手をつかみ顔を隠せないようにする。
「ちょっ…何するの。 離して…っ」
あたしは必死に暴れて逃げようとする。
が、男の人の力が強すぎて逃げられない。
「涙…溜まってる」
…え……うそ…。
あたしはその人から手をはらい、ゴシゴシと目を擦った。
その手は男の人によって止められた。