空夢
その曲を歌い終わったところで、横を見ると松野空が突っ立っていた。
居ることに気づいていなかったあたしは、凄く驚いた。
……いつから居たの!?
まさか、今の聞かれてないよね…!?
あたしは松野空に確認をしにいった。
「ねぇ…今の聞いてた?」
おそるおそる聞く。
だが、何の言葉も返ってこない。
おかしいと思い、顔を覗く。
「おーい?」
「……え!? あ…ごめん。 なに?」
松野空があたしの顔を見る。
「だーから……今の、聞いてた…?」
「今の?」
あ…聞いてないんならよかった。
「聞いてないんならいいよ」
「え゛…!? 何したん?」
「んー? 別に何も…。 あっ、そーいえばさ」
「話を逸らすな!」
曖昧に話を終わらせようとするあたしに、松野空が怒鳴る。