空夢
思いきり泣いてすっきした後に、顔を上げる。
そこには優しく微笑む、松野空の顔があった。
「……っ…!」
ちょ…何今の顔!
あたしはすぐ、顔を伏せる。
松野空の表情に戸惑うあたし。
急にあんな顔するの、やめてほしい。
とか思いながらも、ドキドキするのはなんでだろう。
「宮野、教室戻ろ」
そう言って、あたしの顔の前に差し出された手。
少しずつ顔を上げる。
そこには眩しい太陽の前に立つ、松野空の姿。
「…うん」
そう言って、松野空の手をとる。
…この人の存在が安心する。
…この人の手の温もりが懐かしい。
ありがとう
心の中でそっと呟いて、あたし達は教室に戻った。