空夢
「今日、無理やり買い物につき合わせたし、それに……宮野に早く元気になってほしいから。 こんなもんで悪いけど」
松野空は優しく笑った。
あたし、何もしてないのに受け取っていいの?
……そんなの無理だよ。
「あたし……アンタの役に立つ事何もしてない。 貰う権利ないよ」
「俺が宮野にあげたいから。 だから受け取ってや」
あたしは首を横にふる。
すると、松野空があたしを顔を掴んで上を向かせる。
「じゃあさ、俺がこれから言う事守って。 じゃあ、俺の言う事聞いた事になるし。 だから、はい」
「…………無理じゃない事なら…」
ヒマワリを受け取って、少し口を尖らせる。
松野空が少し考える。
数秒後、ポンッと手を叩いた。
「じゃあ、俺の事名前で呼んで!」
「は……?」
「だって宮野、俺の事 “アンタ” か “松野空”しか呼んでくれんもん……」
あ、たしかにそうかも…。
でも、いきなり名前とか無理!
「無理」
「なんで!?」
「無理なものは無理」
あたしは断固拒否をする。
絶対、名前で呼ばない。
男子の事名前で呼ぶとか慣れてない。
苦手だし。