空夢
「え……青…?」
あたしの名前を呼ぶ。
あたしを “青” と呼ぶのは、お母さん意外に1人だけ…。
「椎名……織斗…」
あたしは少女漫画みたいに、松野から貰った花を落としてしまった。
目の前が真っ暗になる。
なんで……なんでいるの…。
やっと開放されたと思ってたのに…。
またあたしを苦しめるの…?
嫌だ…!
「宮野!」
あたしは走り出していた。
無我夢中で走っていく。
忘れたくて。
今あったことを忘れたくて。
歩いている人が、あたしを見ようが気にしない。
走り続けて辿り着いた場所。
それは、学校の裏庭。