空夢
転校生
あの日からあの男の人に会わず、1週間が経った。
結局、男の人の正体は不明なまま。
まぁ、もう会うことも無いと思うけど…。
キーンコーンカーンコーン──
チャイムが鳴り、皆が席に着く。
担任の先生が“ガラッ”と戸を開けて入ってきた。
その後ろに1人男の人がいる。
……ん…転校生?
あれ…?
あの人……。
その男の人は昨日会った人に似ていた。
いや…ありえないありえない…。
………そんな事無いでしょ…たぶん…。
あたしは机の上に顔を伏せた。
転校生の顔なんか見なくても、そのうち嫌でも見ることになるだろうし。
てゆーか、うるさい人じゃなきゃいいな…。
あたしはそう思った。
とゆーか…そう願った。
だが、次の瞬間あたしの願いはぶち壊された。
「今日は転校生を紹介する」
先生がそう言った後、黒板に何かを書く音がした。
その後
「えー大阪から越してきましたぁ! 松野 空(マツノ ソラ)です! 皆よろしくなぁー!」
転校生が大きな声で自己紹介をする。
あたしはその声を聞くだけで、ウンザリした。