空夢
「宮野、大丈夫?」
「ん……」
少し落ち着いた頃、松野があたしから離れた。
「ほんま…ごめんな」
「もう…いいから。謝らないで」
「ん、ごめん」
「だから、謝るなって言ったじゃん」
「うん」
それから松野は、何もしゃべらなくなった。
沈黙の状態が続く。
「あのさ」
先に沈黙を破ったのは、あたしだった。
松野はあたしの顔を見る。
「あの……あ、りがと」
「………え」
松野は驚いた様子だ。
あたしは松野の顔を見ずに続ける。
「今日、色々連れてってくれて…。誰かと外出るのとか久しぶりだったから…」
「楽しかった?」
「……ちょっと…」
「そーか、よかった!」
松野は優しい笑みを零す。