空夢
「何してんなよ」
「あ?」
ドンッ
そんな音がしたかと思うと、髪を掴まれていた女の子は前に倒れた。
あたしはすぐにその子の元へ駆け寄る。
そして左手を差し出す。
「……大丈夫…?」
こんな事をしたのは初めてだ。
優しく言ったつもりなのだが、女の子は震えている。
怖いかな…?
そう思って手を引っ込めようとした時、女の子の手があたしの手に重なった。
その事にビックリして目を見開く。
そして数秒後、手をギュッと握り思い切りひっぱった。
その反動で立ち上がる。
「……はい…」
右手に持っていた鞄を差し出す。
鞄を受け取り俯く。
そして小さく
「…ありがとう」
と言った。