Secret Story ♯アクアマリンreverse♯【特別編】
ピンポーン。
あ、彼ですわ。
瀬名さまのことを考えていた矢先のこのチャイム。
なんというタイミングのよさ。
以心伝心しているようで思わず自惚(うぬぼ)れてしまいますわ。
わたくしは流れる美しい髪の毛をもう一度そっと手でといて玄関へと急ぎます。
「は~い」
ガチャリ。
「おはよう、姫ちゃん。
準備はできたかな?」
頭上から優しい中性的な声が降ってまいります。
見上げた先には、穏やかに微笑まれる彼が目の前にいらっしゃるのですわ。
わたくしよりも頭ふたつ分はある背の高い彼。
おそらくは180センチは軽くあるのではないでしょうか。
太陽の光を受けた彼の肌は白く見えます。
そのせいでしょうか、彼が発光しているように思えるのは…………。
それにそれに、色素の薄い髪がそよ風に揺らされて……まるで……美の天使、ミューズのようです。
どこまでも澄み渡ったような茶色い瞳と弧を描いた整った眉。
左右対称のお顔。
とても神秘的な姿なのですわ。
そんな彼がわたくしを真っ直ぐ見つめてくださっている…………。
なんと嬉しいことでしょう。