Secret Story ♯アクアマリンreverse♯【特別編】
だって、だって……瀬名さまの手がわたくしの頬に触れています。
それに、彼の瞳が……わたくしを射抜くように見つめておられます。
まるで…………『離れたくない』と、わたくしと同じことを考えているかのように……。
体が……あつい。
彼の視線が……熱を帯びている視線が……わたくしの体をあつくさせるのですわ。
「瀬名さま…………」
思わず彼の名前を口にすれば、触れていた手を火傷でもするかのように素早く離し、背を向けられました。
「用意ができたら降りておいで。
リビングで待っているから」
そう、おっしゃると、彼はドアを閉めました。
閉められた音が、妙に頭の中に大きく響いているのは……きっとこの苦しい胸のせい。
だって、まるで閉じられたドアは瀬名さまとわたくしの心を表しているかのように感じましたの。
わたくしを……拒絶するかのような彼の心情が…………。
なぜですの?
なぜ、あなたはそうやってわたくしを追い出そうとなさるの?
優しい言葉で、行動でわたくしを包み込んだかと思えば、すぐにそうやってあなたはわたくしをはじき出す。
あなたは…………何を思っていらっしゃるの?