Secret Story ♯アクアマリンreverse♯【特別編】

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「ただいま」


わたくしを迎えに来てくださった瀬名さまは、相変わらず無口でいらっしゃいました。


何を思っていらっしゃるのかと横顔を少し窺いましたら……やはり無表情で、けれど意識がどこかへ行っているようでした。


それを証拠に、視線は真っ直ぐ前を捉えております。


瞬きさえもすることなく――――――。




そうこうしていると、気がつけば瀬名さまのご自宅に着いてしまいました。


ここからが本番なのですわ。



わたくしは自分を励ますように、両手をぎゅっと握りしめます。



とりあえず、部屋に戻って私服に着替えましょう。

そして、瀬名さまにわたくしのことをどう思っていらっしゃるのかをお尋ねしましょう。




幸い、玄関の足元には靴は一足も見当たりません。



今日はおじさまは雇先にお話をされに、おばさまは確か、お料理教室の講師をされている日でしたから。




今なら瀬名さまとゆっくりお話しができますわ。







じっくりと………………。







そう思えば、わたくしの心臓は大きく跳ねてしまいます。


緊張しますわ。



ドクンドクン。と鼓動する心臓を止めるため、わたくしは目を閉じて少しの間だけ目の前にいらっしゃる瀬名さまを追い出します。


そうしなければ、わたくしの決意が消えてしまいそうだから……。




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