Secret Story ♯アクアマリンreverse♯【特別編】
やわらかい感触がわたくしの唇にあたります。
気がつけば、わたくしはあろうことか、瀬名さまの唇を奪っていました。
ですがムリです。
わたくしからは瀬名さまの唇を離すことはできません。
優しいムスクの香りがわたくしを魅了します。
風に揺れる瀬名さまの前髪がわたくしのおでこに触れるたび、胸がぎゅっと締めつけられてしまいます。
けれど、この感覚がとても愛おしい。
お慕いしています。
瀬名さま――――。
心をこめた口づけを瀬名さまにしていると……。
ぐるん。
へ?
「あ、ひあっ!!」
わたくしの体が急に回転しました。
何事かと思って閉じた瞼をあけると、そこには綺麗な茶色い瞳をした彼がわたくしを映していました。
「あ、あの!!」
どうしましょう。
なんと言えばいいのでしょう。
無断でお部屋の中に入って、しかも瀬名さまの唇を奪ってしまって申し訳ございません?