Secret Story ♯アクアマリンreverse♯【特別編】
すると、彼の息を飲む音がわたくしの耳に届いたかと思えば、身体が一気に冷えていきます。
瀬名さまと密着していた身体が……離れてしまいました。
「せなさま?」
突然の彼とのキスに頭が追いつかなくて、呆然としたまま言葉を紡げば、呂律(ろれつ)がうまくまわりませんでした。
幼子が話すようなたどたどしい言葉になってしまいます。
「わたしは……こんなことをするつもりはなかった」
それは、とても後悔しているという言葉でした。
わたくしとキスしたことを責めるような……そんな雰囲気を漂わせていました。
なぜ?
なぜ、そのようにご自分を責められますの?
わたくしは嬉しかった。
瀬名さまに異性として見られているということが、とても嬉しかったのですわ。
なのに……わたくしの目の前にいる瀬名さまはうなだれ、わたくしなど見てもいません。
「瀬名さま……わたくし…………」
そして、わたくしの言葉が引き金となったのでしょうか、彼は目を伏せたまま、話しはじめます。
「ごめん。
さっきのは、ただの間違いなんだ」