Secret Story ♯アクアマリンreverse♯【特別編】
嫌われていてもいいから……だから…………。
わたくしはぎゅっと目を閉じ、受け入れたくない現実を遮断します。
「ほら、はやく開けろって!!」
「待てよ、急ぐな!!」
耳に入ってくるのは男性ふたりの焦る声。
鼻を突くのは、ガソリンの……。
ああ、わたくしは……もう、ここには居られないのですわね。
生まれ育った町から離れるのですね。
そう思えば、さらなる絶望がわたくしを襲います。
そして――――――………………。
ガチャン。
ドアが開く音が絶望という名の紐でわたくしを縛ります。
「開いたぜ、入れろ」
後ろの座席に乱暴に突っ込まれると、逃げられないようにすぐドアを閉められます。
押さえられていた口は解放されましたが、その代わりにわたくしの手首に男性のひとりがどこから持ってきたのか紐をきつく結ばれました。
これでもう……逃げられない。
「……せな……さま…………」
最後に、最後にもうひと目、あなたの優しい微笑みを見たかった。