Secret Story ♯アクアマリンreverse♯【特別編】
口づけをかわします。
「ん……」
やがて、口づけた唇から下へと向かって熱がわたくしの全身を覆っていきます。
人魚のしっぽに、ぴりりと痛みがはしったかと思えば……しっぽは次第に淡い光に変わります。
そして………………。
ああ、瀬名さま。
わたくし、人間になれたのですね。
口づけする水面に映るわたくしと瀬名さまの姿をちらりと見れば……。
わたくしのしっぽは消え、二本の足がありました。
「瀬名さま、お慕いしております」
「わたしも、ずっと君を慕っていたよ。
わたしの人魚姫」
「ふぅ……ふぇ…………」
ぽたり。
ぽたり。と落ちるのは、優しいあたたかなアクアマリンの涙。
あなたへの想いがこもった涙。
瀬名さまは、そんな泣き虫なわたくしのおでこに唇を落としてくださいました。
あたたかい口づけに目を閉じ、うっとりと感じました。