純粋な愛

家出を決めた日








昼間に君が居るのは珍しい





洗濯したり掃除をしたり
せっかく部屋に
居るのに騒がしい





ちょっとは僕みたく
のんびりになればいいのに






いつもは閉めっぱなしの
透明な扉も
今日は
ずっと開いている






おかげで
僕は今日一日
色々な匂いを久しぶりに
嗅ぐことが出来た









君と過ごす最後の夜
君は匂いを遮断した







僕には鼻歌を歌いながら
お肉とカリカリを
出してくれた







最後だからかな?って
思ったけれど
僕の演技が君に
見破られるはずがない






君の夕食は
いつもより量が多い








僕が食べ始めると
重い扉が開いて
君の部屋に初めて
僕と君以外のダレカが来た




そのダレカは
僕を見つけると君と
同じように背中を一撫でした






でもひろがるのは
ちょっとの気持ち良さと
計り知れない嫌悪感




君の部屋で
僕に触れていいのは
君だけなんだ




その後はダレカの手を
避けながら
夕食を食べた






ダレカと君は
いつもより量が多い
君の夕食を
半分にして食べた






僕はわかった






時々電話をかけて
僕から君を奪うのが
このダレカだと






僕の中で
ダレカは
敵に認定された






でもね
君はダレカと
話していると
とても楽しそうなんだ






君はいつも扉ごしに
聞こえる声よりも
ずっと嬉しそうに笑う






そんな顔にできるダレカが
ちょっと羨ましかった








それから君は
泣いてもいないし
目が
腫れてもいないのに
丸い機械で星をちりばめた






僕が望んだことだ






僕と君以外に
ダレカが居るのは癪だけど
今日が最後だから
大目にみてあげよう






君も満足そうだったから
僕は早めに
寝ることにした




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