純粋な愛


君は今日
シリアルもお茶漬けも
食べなかった





僕にホットミルクを出すと
僕が食べ始めるのを
確認して
ベッドに潜った





泣いた目は
腫れたままで
部屋はカーテンのせいで
薄暗いままだった





僕は心配になって
近づくけど
君は布団の中で
寝返りをうつだけ





今日は僕の相手も
したくないと
言わんばかりに
背を向けた






ねえ
君はどうしたら
元気になるの?





今日も外は雨だ





僕は雨が嫌いだから
部屋に居るしかない





君を励ましたいけど
やっぱり僕には
傍に居ることしか出来ない





声をかけても
今日の君に
届くことはなかった

















僕の夕食はいつも通りだった





君はずっと前に
調達していた保存食を
食べている






僕は知っている





この独特な匂いの
ちょっと辛い
食べ物のことを





でも君は甘い方が好きらしい





君が作ると二、三日は
この匂いが漂う





君はグラタンにしたり
中にうどんを
入れたりするけど
僕にとっては
匂いが同じだから全部同じ










…今日は保存食だから
明日もこの匂いを
かぐことはないけど














今日の君は
やたらと
電話を気にしている







多分
無意識






君はあのダレカから
電話がかかってくるのを
期待しているのだろうか










結局電話は
かかって来なくて
今日も君は
星をみることもしないで
寝てしまった










…ああ
僕にはどうすることも
できない







もどかしさだけが
心の中に残った





< 18 / 24 >

この作品をシェア

pagetop