純粋な愛

少しの時間だったんだと思う
だけどそれは
僕にとってはとても長い時間だった



君が帰ってきた


君は僕に気付くと
僕の名を呼んだ。


そしてすぐ
僕が何かをくわえていることに気付く



それは薄紫色の花



君はぱっと顔を覆い、涙を流した
僕はあわてた
この花が嫌いだったのだろうか



ごめんね
僕はあわてて言う



そうすると君は
僕を花ごと抱え上げて抱きしめた



僕に何度も、何度も、
ありがとう、ありがとう、うれしい、と言った





どういたしまして、と僕は言う
良かった、嫌いじゃなかったんだね





そのあと君は
僕を抱えたまま家に入った
そして真っ先に花瓶に花を挿す



僕はハナヤのことを話した
店員さんがくれたんだと




君は少し照れてるようで
いつもより顔が赤い



明日、お礼を言わなきゃね



と君は僕に話しかけるわけでもなく呟いた






その日の夜、君は星をちりばめた
悲しい涙でなくても
涙を流したら、ちりばめるらしい


これは大発見だ
今度、また喜ばせよう
そして、一緒に星をみよう




この日の君は僕を抱きしめたまま
ベッドで眠りについた。


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