純粋な愛


君の家に来て
どのくらいたったのだろうか




少し
わかったことがある







君が僕の名前を決めた








「アイリス」







なかなかかっこいい








ここは
雨に濡れなくて
良くて快適だ




でも
君が透明な扉を
開けないと僕の好きな
あの草の匂いが
嗅げないのは少し不満だ






君はひとりで
暮らしている




僕の朝食は
絶対にホットミルク




暑かろうがなんだろうが
ホットミルク




最初は不満だったが
最近それにハチミツが
入っていることを知って
許した





君はいつも朝はシリアル




僕とお揃いの
ホットミルクで






でもたまにお茶漬けになる




お揃いじゃないと
少しがっかりする





お茶漬けに梅なんて
入っていたら
僕はホットミルクを
飲み干した瞬間
別の部屋へ逃げ込む





あの酸っぱい匂いが
どうも苦手だ






朝食のあと
君はテレビで
天気予報を見ながら
身支度をしていく




僕はしばし休憩




君は身支度を終えると
僕をさがす




どこに隠れていても
必ず見つかってしまう




お茶漬けが梅干しの日で
隣の部屋に
逃げ込んでいても
必ず見つける






そして
僕の頭を一撫でして






__行ってくるね。







そう言って
重い扉を開けて出ていく




そうすると
陽が沈むまで
君は帰ってこない




たまに僕は
重い扉の前まで
見送ったりする




君の機嫌が良いと
僕が外に出るまで重い扉を
開けたままにしてくれる




たまに散歩したくなるから
その心遣いは嬉しい




そういう日は陽が沈む前に
扉の前で待ってる




そうすると
君がやって来て
一緒に部屋に入るんだ




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