初めては幼なじみ(真樹サイド)~手のかかる転校生~
放課後、グラウンド内にあるバックネット裏にヤケに人だかりが出来ていた。
男子、女子問わず、担任、教頭、校長先生までいる始末だった。
この大騒ぎは全て青木光輝の練習風景を見る為だった。
弱小野球部として有名だったこの中学校に突如として現れた、いわゆるスターとでも呼べる逸材にみんなの関心が集中したのだ。
授業が終わるなり、クラス中が駆けつけると言うので、わたしも負けずと、この見学会に参加し、バックネット裏の隅で見守っていた。
そんな中で光輝とストラップを作る約束を交わしていたわたしは、ちょっとした優越感に浸っていた。
当の本人も、まさか自分がここまで注目されるとは思っていなかったようで、何か縋るものが欲しかったらしく、練習用のユニフォームに着替えた光輝が、わたしの方へと走り寄って来た。
当然人だかりの視線はわたしに向けられた。