恋愛野獣会
結局、声をかけそびれてしまった俺。



どうする?



今のは、明日香を助けるために殴られたあの男だったのか?



それとも、違うやつ?



わからないまま、俺は携帯で桜子の番号を出していた。



授業中だから出ない可能性の方が高いかもしれない。



家が同じ地域だから幼い頃からよく知っている桜子だけど、家柄に差がありすぎて俺はいいように利用されているダケだった。



桜子のことが嫌いじゃない俺にとっては、それが苦痛じゃない。



でも……。



今思えば俺から電話をかけるのも、これが始めてだ。



『今何時だと思ってるの?』



そうやって怒る姿が目に浮かぶ。



そして、呼び出し音が聞こえてきた――。
< 443 / 501 >

この作品をシェア

pagetop