恋愛野獣会
☆☆☆

「離して! 嫌だ!」



ユカさんの手からジタバタと逃げ惑う。



優しかったユカさんの笑顔が今は悪魔のように見える。



逃げ惑う生贄を負う鬼のようだ。




小さな部屋の中を這うようにして玄関へと向かった、その時、ユカさんの手が私の足首を掴んだのだ。



「いやっ!!」



強烈な恐怖が体中を襲い、無我夢中で足をばたつかせる。



その瞬間……。



ガチャッと音がしてドアのカギが開いたのだ。



その音に、ユカさんの動きが止まる。



私は咄嗟にユカさんから離れてドアをジッと見つめた。



そして、入ってきたのは――。



吟さんと、その後に続く見知らぬ5人の男たち――。



……5……人?



思い出すのは覆面の男たち。



まさか、嘘でしょ……?
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