恋愛野獣会
「吟……」



白夜先輩が呟くように名前を呼んで、クッと奥歯をか
み締めたのがわかった。



誰も、見ているだけの吟さんに手を出そうとはしなかった。



それは喧嘩に参加していないからだと思っていた。



でも、違うんだ。



吟さんは、白夜先輩の兄弟だからだ。



だから簡単に手を出せないでいたんだ。



吟さんは、それをよく知っている……。



「ひとつ、聞いていいか」



1人で出口へ向かう吟さんに、白夜先輩が声をかけた。



「事故……だったんだろ?」



その言葉に、吟さんは振り返る。
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