恋愛野獣会
「吟は、ユカのことが好きだったんだ」



白夜先輩が、小さな声でそう言った。



え?



先輩の視線は、また黒くなった畳に注がれている。



「だから、一瞬思った。吟の仲間はユカで、吟はユカを助けるために自分が警察に行ったんじゃないかって……」



でも。



そう言い、白夜先輩はこちらを見て微笑む。



「お前が違うっていうなら、それを信じるよ」



ズキン――。



鈍い痛みが胸を突き抜ける。



こんな時に、微笑まないで。



悲しい笑顔、見せないで。

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