恋愛野獣会
私しかその声を聞いていないけど、それ以外に考えられない。



カヤさんが私を助けてくれたんだと思うんだ。



「カヤが……明日香を助けたのか……?」



光輝先輩が、まだこのへんにいるかもしれないカヤさんへ向けて問いかける。



その言葉は空中に溶けて消えていくだけ。



なのに……暖かな空気が流れているような気がした。



白夜先輩が、黒い畳の前で膝をついた。



肩が小刻みに震えて、時々嗚咽を漏らす。



先輩――。



かける言葉なんて、見つからない。
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