誠の桜に止まる蝶~番外編~
「ったく・・・」

原田さんが少し悔しげにため息をつく。

その横顔はどこか困っているようにも見えた。

そしてそれぞれの部屋に戻った。

「落ち着いた?」

「ん・・・」

私は膝を抱えて座っていた。

「蝶負けたの初めてでしょ?」

「な、なんでわかるの?」

わたしを驚いて総司を見上げる。

すると優しげに総司は微笑んでいた。

「蝶の様子見ればわかるよ。」

「っ・・・初めて負けたの・・・」

「うん。」

「それで、沙織にあんな態度とっちゃって・・・」

「うん。」

「だけど、悔しさを隠しきれない自分に嫌気がさして・・・」

「わかってるよ。」

そう言って総司はぎゅっと抱きしめてくれた。

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