誠の桜に止まる蝶~番外編~
「ああ。思えば8年前からお前が好きだったのかもしれねえな。」

俺は苦笑いで答える。
今までの女は全部沙織と似たようなところがある女ばっかりだった。
無意識に沙織の面影や、沙織の将来の姿を俺は探し求めていたんだろうな。

「あんな子供の私が?」

驚いたように瞳を丸くする。

「ああ。子供でもお前は立派な女だったからな。」

「なんか嬉しいな・・・だけど総司にそのこと言ったら絶対馬鹿にされちゃうよね。」

そういって少し楽しそうに微笑む沙織。
だけど俺は少しむっとして沙織のほほを両手で包み込む。

「なんで俺はさんづけなのに総司は呼び捨てなんだ?」

「え、いや、そ、それは・・・」

少し視線をそらしながらしどろもどろに答える。

「そういえば俺だけさん付けだよな?」

「だ、だって好きな人を呼び捨てとかできないもん・・・」

そういって少し涙目で頬をピンク色に染めながらこちらをみる沙織。

俺は思わず抱き寄せて口づけをする。

「さ、左之さん苦しい・・・」

「おっと、すまねえ。」

俺はそっと沙織を抱きしめる力を緩める。

「力加減忘れちまった。」

「もうっ!」

沙織はすこしほほをぷうっと膨らませる。
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