誠の桜に止まる蝶~番外編~
私はそっと中の様子を覗く。

すると数人の人たちが稽古をしていた。

「はははっ!総司はやっぱり強いなあ~」

近藤さんが稽古の合間に嬉しそうに頬笑む。

「そんなことないさっ!僕は近藤さんのほうが強いと思うからね!!」

そんな風なやりとりをみるとおもわず微笑んでしまう。

ここはきっとみんなの過去だ。

私が知らない、みんなの過去だ。

そう気づくと周りの景色が流れ出す。

「えっ?」

春夏秋冬とまるで早足に季節が変わっていく。

その変わる様子に合わせてみんなも大人になっていく。

そして、ぴたりと止まる。

大きな男の人が現れた。

「今日からこの隊を浪士組と名付ける!!!」

浪士組・・・・・

新撰組の前の隊だ・・・・

私はなんとか記憶をたどり思い出す。

その浪士組にはもうみんなそろっていた。

こうして歴史は流れていくんだ。

私はそう思いながらみんなの過去を随想する。

「あい、女。ここで何をしている?」

「あ、え、?」

いきなり声をかけられて私は唖然とする。

この人、わたしが見えるの?

「ほう。なかなか綺麗な女だな。どうだ?今夜の宴でわしの酌をしないか?」

「いや、あのっきゃっ!」

いきなりさっき声を上げていた男の人に腕を掴まれる。

「近くでみるとますます美しいな。」

「は、放してっ!!!」

私はバタバタと暴れる。

「鵜殿さん。そのこ嫌がってますよ。」

「なんだ。貴様俺の邪魔をするのか?」

鵜殿さんと言われる人が声の主をにらむ。
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