誠の桜に止まる蝶~番外編~
そしてそこからは少し足早に時間が流れる。

みんなは沙織に稽古をつけてもらいどんどんと剣の術を上達させた。

沙織はまだ8歳という幼さに似合わない大人びた容貌で私は驚いた。

そして、月日は流れ、春だった風景も秋になった。

「総司。どうしたの今日。」

総司が縁側に座っていると沙織がちょこんと隣に座る。

「いや、もう秋なんだなと思ってね。」

「うそつき。あなたの今日の剣はなやみごとを抱えている剣だったわよ。」

「まったく、沙織にはかなわないなあ。いや、俺は剣を振るう以外なにもできないなと思ってね。」

その横顔はどこか寂しげだった。

「総司がそんなこと言うなんて珍しいね。」

「まあね。時々考えてしまうんだよ。俺は本当にこの道でいいのかってね。」

「そう。人は迷い悩み伸び行くものよ。己の道に自信を持ちなさい。」

「うん。ありがとう。」

そう言って沙織はどこかへ行ってしまった。

だけど総司はまだその場に残っていた。

そのまなざしはまだ迷いがあった。

できるならば今すぐあなたの横に行ってあげたい。

そっと抱きしめてあげたい。

それができない私がもどかしかった。

そして、私はふっと気づく。

私が時をとんだ意味が分かったよ。沙織。

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