誠の桜に止まる蝶~番外編~
「急にどうしたんだ?」

土方さんが不思議そうにつぶやく。

「いや、強さってなにかと思って。」

「強さは人それぞじゃねえか?」

「え?」

意外な回答に驚いて土方さんをみる。

土方さんも静かに満月を見あげていた。

「強さっていうのは刀を振るうだけを指す言葉じゃねえ。それぞれ己の持つ強さは違うんだよ。」

「己の持つ、強さ・・・」

「ああ。俺の持つ己の強さは仲間のために、敵を斬ることだ。」

「でも、私は人を斬れない・・・」

そうつぶやくと土方さんはあたまをぽんっと叩く。

「だから、これは俺の持つ強さだっていってるんだろ?お前の強さはそうだな・・・人を傷つけず仲間を守り抜くことじゃないか?」

「傷つけず、守り抜く・・・」

それが、私の強さ・・・・?

ふいに風がざあっと吹き荒れる。
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