誠の桜に止まる蝶~番外編~
「いやいや全然不思議な力なんてありませんよ?」

私は苦笑いをこぼす。

「それに私の力はお父様とお母様の力を受け継いだからです。私自身は全然力なんてないんですよ。」

すこし、さみしそうに蝶は微笑む。

「そうかな?いくら受け継いでも才能や思いがなければ発揮できないよ?」

そんな蝶を総司は優しく覗き込む。

おもわず顔を赤くしてしまう。

「・・・ありがと。」

「んじゃ俺は今日から蝶のこと姫様って呼ぶかな。」

原田さんが面白そうに蝶の頭をぽんぽんとする。

「もうっ!やめてくださいよ!!」

私はわたわたしながら抵抗する。

「事情はわかった。だったらなおさらお前を一人ではいかせられねえよ。今日は幹部で見回りに行く。」

土方さんがそう告げる。

「でもっ!!」

「蝶。でもじゃないよ?俺らだって蝶をまもりたいんだよ。」

総司がまっすぐに私を見つめる。

ほかのみんなも穏やかに、だけどまっすぐこちらを見つめる。

「・・・わかった。だけど無理はしないでね?」

「案ずるな。俺らは無理はなれている。それよりお前が無理をしすぎぬように気をつけろ。」

「はいっ!一さんは優しいですね♪土方さんと違って♪」

「てめえっ!俺と違ってっどういうことだ!」

「きゃあっ!」

私は土方さんに怒られる前に部屋を早足で出ようとする。

だけど部屋を振り返りみんなに告げる。

「みんな!信じてるから。だから無理はだめだよ。それに、なにかあったら私がみんなを守るから。」

そう蝶が告げた瞬間強く風が吹き、花びらが舞う。

花弁につつまれた蝶は清く、そして気高く美しかった。

そのばにいた全員がおもわず見とれた。
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