セイントロンド
魔女の場所へとたどり着くと、そこにはすでに使徒がいた。
「紅蓮の炎よ!!」
―バチバチバチッ
いくつもの炎が魔女へと襲い掛かる。
まるで業火の炎……
罪人へとむけられた罰。
「ウギャャャャッーッ!!!!」
魔女は苦しいのか、悲痛な叫びを上げる。
「…すごい…」
ここまで力を使いこなすなんて……
その顔を見ようと屋根の上から様子を伺っていると…
「なぁ!!暇なら手伝ってくれって!!」
こちらには目を向けず、敵を見据えたままそう言った。
……誰に話しかけて……
「なぁ、屋根の上の人!!」
私!!?
いつから気づいて……
「おーい!!」
その人はそう叫んで振り向いた。
「!!!!!」
その顔は見覚えのあるものだった。
紅い髪に反対色の碧瞳。
カイン・ディグラスだった。
暗いせいか、私の顔はカインには見えていないらしい。
まさか…ここまで優秀な使徒だったなんて…
というより……
顔を合わせたら色々と面倒くさそう…
でも…………
「キシャーーッ!!!!」
発狂する魔女をこのままには出来ない。
こいつを放し飼いにすればまた人間が悪魔にされてしまう。
「…仕方ない……」
コートについていたフードを深く被り、私は魔女の前に飛ぶ。