セイントロンド
「おわっ……なん…だ…?」
驚くカインを無視して目の前の魔女を見据える。
魔女特有の紅い瞳……
その深い紅は………
こいつ…相当人間を"喰らってる"。
「…気色悪い…化け物が…」
私は両手に握られた銀銃を構えた。
…ワルプルギスの血に眠る聖なる力よ……
「罪深き魔女へ断罪を!!
…judgment!!」
―ビュンッ!!!
白い光が閃光のように魔女の心臓を貫く。
「ギギャーーーッ!!!!」
魔女は断末魔の叫びを上げ、硝子のように砕けていった。
「…終わった……」
部屋へ帰ろう。
メアリーが心配してる…
「ありえねー………」
呆然と呟かれた一言にもう一人の存在を忘れていた事に気づく。
あー…忘れてたカインの事…
「なあ!!あんた使徒か!?
初めて見た、強すぎるだろお前!!」
興奮したようにはしゃぐカインにため息をつく。
本当に…………
「私が魔女だったら、あなた一瞬であの世逝き」
昼間と同じ台詞を吐いてしまった。
「…お前………………」
「あ」
やってしまった……
こういう時はずらかるのが一番だ。
私は何も言わずにその場から逃げた。
「おい待てってーー!!!」
地上からカインが叫んでいるけど無視。
私は空を飛べる、もちろんカインには追いつく事なんてできなかった。
あぁ…今日も疲れたなぁ…
金色に輝く月を眺めながら、教会へと戻るのだった。